松村北斗 サプライズ登場の新海誠をリスペクト！「“原作者にとっていい映画”を大切にしたい」映画『秒速5センチメートル』完成披露試写会レポート

本作は、新海さんの劇場アニメーション『秒速5センチメートル』（2007年）を実写映画化したもの。 主人公・遠野貴樹の18年間にわたる人生の旅を、幼少期、高校生、社会人の3つの時代で描き、“新海ワールドの原点”との呼び声も高い作品です。

“松村北斗 上田悠斗をやさしく気遣う「怖いよなぁ」”

松村さんは、原作アニメーションに尊敬をしていることを語りつつ、「生身の人間がやるという理由を奥山さん（監督）がとことん追求してくださったので、そこで生まれるアニメと実写の違いに、きっと感動していただけるのでは」と、期待を寄せました。

高畑さんは、今の気持ちを聞かれると「緊張しています。こんなに静かな舞台挨拶は、なかなか経験がないので（笑）」とコメントし、集まった観客を和ませました。

その後、キャストが1人ずつ思いを語るなか、本作で演技初挑戦にして主人公・貴樹（松村）の幼少期を演じた上田さんは「緊張しています」とポツリ。

MCから今の気持ちを聞かれると、「怖い」と素直に答え、キャスト陣は思わずほっこり。松村さんは「怖いよなぁ、こんなにいっぱいいたらなぁ。こっち（客席）もいっぱいいると思ったら、横（キャスト）見てもいっぱいいるしね」と、やさしく気遣いました。

“「最近感じた、めぐり合わせ」を発表！高畑充希は歌番組で…”

イベントでは、作品にちなみ「自身が最近、めぐり合わせを感じた瞬間」についてトークを繰り広げました。

松村さんは「一番仲が良い高校からの友だちが、自分と似たような仕事をしていて、先日、舞台に出たんです。嬉しくて観に行ったら、その作品の主演が、僕が芸能界に入るために一緒にオーディションを受けて、その後、違う道に行かれた方で」と告白。

「2009年、16年前です。今も頑張っているのを目の前で見て、刺激になりました」と話しました。「なんか似ているな」と思いながらも確信を持てないまま観劇し、その後、友人から教えてもらい判明したそう。

「（オーディション会場に）たくさんいる中で、話せたのって数人で、そのうちの1人で。緊張しているなかでムードーメーカー的な存在だったので、これからもたくさんの人に元気を与えてくれるんだろうなって思うと、負けていられないなと思いました」と、パワーをもらったようです。

高畑さんは、「以前、歌番組で歌うときに、何の曲でもいいですよと言われて、まわりの人にアンケートをとって歌ったのが、山崎まさよしさんの『One more time, One more chance』」と、本作の劇中歌を挙げました。

「これを歌わせていただいて間もなく、『秒速5センチメートル』出演のお話をいただいたので、エモいと思って。嬉しくて、お受けさせていただきました」と、笑顔で回答。

森さんは、今年初めにカナダ留学をしていた際、現地のクラスメイトの1人が偶然にも、森さんの初主演ドラマの制作スタッフだったことを明かしました。

吉岡さんは「ちょっと前にテレビをつけて、なんか見たことある子どもがいるなぁと思ったら、僕でした。『北の国から』の再放送をやっていた」と、吉岡さんならではの“めぐり合わせ”エピソードを披露。

宮﨑さんは「10代の頃からお世話になっているスタイリストさんと、ばったり会う確率が高い。商業施設のエレベーター、スーパー、街中…。移動車に乗っていて、パッと後ろを振り返ったらその人の車がいたり」と、信頼する人との“引き寄せ”を感じたそうです。

すると、奥山監督も「僕もたまたま（宮﨑さんに）会いました。この作品の打ち合わせの数日後に、街で『奥山さん』って声をかけけられて」と、とても驚いたと告白。観客に「街中で、宮崎あおいさんに会わないじゃないですか？」と呼びかけ、共感を求めました。

“新海誠が「一番好きな声」 松村北斗＆吉岡秀隆の共演に感激”

そしてイベント中盤、新海さんがサプライズで登場！大きな拍手で迎えられた新海さんは「原作者が出しゃばるのは良くないなと思ったんですけど、みなさんにお礼だけ言いたくてお邪魔しに参りました」とあいさつ。

新海さんは「貴樹がどういう男か、（ヒロインの）篠原明里がどういう女性か、よく分からないまま作っていました。キャラクターを描くというのがどういうことかも分からず。でも映画を見たら、（その答えを）北斗くんと高畑さん、奥山監督に教えていただき、ようやく知り得たような気がしました」と、しみじみコメント。

これに松村さんは「原作がある以上、やはり“原作者の方にとっていい映画”って必要というか、大切にしたいものだと思いながら現場にいました」と、深海さんへのリスペクトを語ります。

続けて「新海さんが原作者であるということが、（出演への）不安の理由でもありました。でも、こういう感想をいただくと、やっと安心して“次はお客さんに向けて”と、一歩進める」と、安堵（あんど）の表情に。

高畑さんも「私も正直、明里ってどんな人だろうと分からない要素が多くて。でも、新海さんも『分わからない』っておっしゃっていたので、ちょっとホッとしました」と、顔をほころばせました。

また、松村さんは『すずめの戸締まり』（2022年）、森さんは『天気の子』（2019年）、吉岡さんは『雲のむこう、約束の場所』（2002）年と、それぞれ新海さんの作品に声優として参加した縁があります。

新海さんは森さんについて「映画『国宝』観ましたよ！『国宝』のなかでは、ものすごく大人っぽい役をやっていらっしゃって、『秒速5センチメートル』のなかでは、高校生の花苗になっていて。七菜ちゃんの天才性を目の当たりにしました」と大絶賛。

森さんは「身にあまるお言葉です。こうして舞台あいさつに、新海さんと一緒に立たせていただくのが、とても久しぶりで嬉しいです」と満面の笑みを見せました。

そして新海さんは、自身の商業長編アニメデビュー作『雲のむこう、約束の場所』の主演を吉岡さんにオファーしたことを回顧。

「何も知らなくて怖いのも知らずで、一番好きな声の人だからと吉岡さんにお願いしちゃったら、まさかOKくださって。子どもの頃からずっと吉岡さんが好きで、『北の国から』が原点でした」と明かしました。

『北の国から』で吉岡さん演じる純は、いろいろとつらい経験をしますが、新海さんにとってはその姿が「自分の未来予想図」に思え、自身と純を重ね合わせて見ていたそう。

今回の『秒速5センチメートル』では「僕の一番好きな声の北斗くんと、一番好きな声の吉岡さん、彼ら2人が同じ画面のなかで会話を交わしていて、僕にとって特別なご褒美です」と、うれしそうに語りました。