批判を気にして募金活動も遠慮気味…荘口リポーターが見た“萎縮社会”

批判を気にして募金活動も遠慮気味…荘口リポーターが見た“萎縮社会”

2016年05月19日 (木)
公式ツイッター @web_tokudane

良かれと思った言動でも、インターネットで心無い誹謗中傷を浴びてしまう…
「批判されるかも…」と必要以上に気に病んでしまう“萎縮社会”とも言うべき風潮が生まれている。

東京都のJR新宿駅前で、都内の大学に通う熊本県出身の学生たちが熊本地震への支援のため、募金活動をしていたのだが、その姿はどこか遠慮がち。
彼らが気にしているのは、ネットなどの「募金活動をしている人の半分は偽善者か詐欺師」という疑いの目。
学生たちは、募金箱に自らの学生証を貼り付け、これまでの募金の振り込み明細書を掲げていた。
そして、街行く人にこんな言葉で支援を呼び掛けていた。

学生「誠に勝手なお願いとは承知の上でございますが、熊本地震を過去のものとは思わず…」



萎縮の空気は妊婦の間にも蔓延している。
妊娠していることを周囲に示す「マタニティーマーク」を身に着けることをためらってしまう女性が増えているというのだ。
「病人でもないのに電車の優先席に座りやがって!」などという誹謗中傷をネット上で書かれたり、面と向かって言われることを恐れているためだという。

本来、妊婦であること周囲に認知してもらうことが目的であるはずの「マタニティーマーク」。
しかし、近年の風潮を反映してか、妊娠・出産情報誌の付録の「マタニティーマーク」は、5年前のものに比べて4分の1ほどの小ささになっていた。



2児の母である、梅津アナウンサーも妊娠中に同じような経験をしたという。

梅津「マタニティーマークを付けていて、電車で体調が悪くなって席を譲っていただいた時に、『妊婦がそんなに偉いのかよ』って言われたことがあります…」

萎縮の波は子どもたちにまで押し寄せている。
東京・千代田区のとある公園では、ボール遊びができるのは毎週木曜日と土曜日、それぞれ2時間限定となっている。
子供達にとって貴重な「ボール遊び可能時間」に公園を取材してみると、周囲に遠慮してか、遠慮がちに声をひそめて遊んでいた。



マタニティーマークの問題について、コメンテーターの宋美玄さんは産婦人科医の立場からこうコメント。

宋「妊婦は通常の体調じゃなくて、周りから配慮されるべきだと思うので、私は妊娠中率先して着けていました。どこの世界にもいる“ノイジーマイノリティ”を気にしていたらきりがない」



コメンテーターの為末大さんは、萎縮社会についてこうコメントした。

為末「最大の問題は『それ素晴らしいね』と思っている大多数の人が無言でいること。
ごく一部の心無い声はなくならないので、それより大きい力で素晴らしいことは『素晴らしい』とほめましょう」

キーワード: ニュース動画あり
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