スネ夫もイヤミも殿間も鉄郎もじゃじゃまるも…さよなら、名声優・肝付兼太さん
「のび太のくせに生意気だ!」
一度聴いたら忘れない個性的な声で、印象的なアニメキャラクターを演じてきた声優・肝付兼太さんが、先週木曜日に肺炎のため亡くなっていたことがわかった。80歳だった。
冒頭の決めセリフが有名な「ドラえもん」のスネ夫役をはじめ、肝付さんは独特なしゃがれた高い声で、癖が強いたくさんのキャラクターに声という命を吹き込んできた。
「おそ松くん」のイヤミ、「元祖天才バカボン」のおまわりさん、「銀河鉄道999」の車掌…振り返れば半世紀以上にわたり子供たちを楽しませた肝付さんの人生は、まさにテレビアニメの歴史そのものだった。
肝付さんがミステリアスな車掌を演じた「銀河鉄道999」で、主人公の星野鉄郎を演じた野沢雅子さんは、亡くなる1カ月前に仕事で顔を合わせた時の様子を語ってくれた。その時すでに肺を患っていたという肝付さんは、病院から車いすで現場に現れたという。仕事の後、野沢さんが「もっと長生きしてね」と声をかけると、肝付さんは「うん、頑張るよ」と答えたが、それっきりに…
野沢さん「人の面倒見がいいんです。銀河鉄道999の車掌さんも面倒見がいいじゃないですか。いつでも鉄郎をお友達のように思っていますよね。だから悪いことは悪いって言ってくれる。哲郎にも言いますよね。メーテルさんにも言う人ですから。全くその通りの性格ですよ、肝付さんって。とっても人のことを褒めたり『そこがいいよ、とってもいいよ』ってほめたり」
そして野沢さんは星野鉄郎の声で、旅立った肝付さんに呼びかけた。
野沢さん「車掌さん、どこ行っちゃったの? 999止まっちゃうよ…。でもね、親友の所にいったんだよね」
去年6月「ドラえもん」でジャイアンを演じた、たてかべ和也さんが亡くなったとき、公私にわたる大親友だった肝付さんはこう話していた。
肝付さん「あとから追っかけていっても、やっぱりジャイアンの子分になりたいなって感じですかね」
きっと二人は今頃どこかで再会しているのではないだろうか。
小倉「本当にいろんなアニメで様々なキャラクターの声をやっていたんですね」
中江有里「どうしてもドラえもんのスネ夫のイメージが強かったのですけど、私はハイジが好きだったので、セバスチャンって肝付さんが演じていたんだって、今回初めて知ったんですね。それだけ子供時から肝付さんの声を聞いて、なじんでいて。しかもキャラクター一つ一つ別の人の声だって思っていて、まったく結びついてなかったですね」
梅津「声だけ聴くと少年のスネ夫が今でもよみがえるような感じがします。私たちが親しんだ声優さんが行かれると、すごく寂しいですね」
小倉「皆さんの頭の中に声が残ってるわけですからね。とてもうらやましい仕事ですね」