アンビリバボープレミアム バナナマンの心に刺さる奇跡の実話

『一人のコーチと生徒の絆の物語』
約3週間前の5月25日、アメリカミネソタ州で、黒人男性が白人警官に押さえつけられ、死亡する事件が発生。
これをきっかけに全米各地で起こった、人種差別に対する抗議活動は収まる気配がない。
しかし…今から遡ること15年…差別や偏見にとらわれず、奇跡を成し遂げた一人のコーチと生徒たちがいた。


アメリカ・サウスカロライナ州にあるサマーヴィル高校。
この高校のバスケ部は、毎年、州大会の地区予選で敗退する弱小チーム。
部活動が単位として認められていたため、それを目当てに入部する成績の悪い生徒も多かった。


そんなバスケ部のコーチとして、ルイス・マルキーが就任。
ルイスは、生徒たちに卒業までにチャンピオンになるのが目標だと言った。
ルイスの本職は、消防士。
サマーヴィル高校のOBで、学生時代はアメフト部に所属、バスケット経験などほぼ無い素人だった。


バスケ部に所属する多くが、貧しい黒人家庭の子供たち。
無気力で学業の成績の悪い彼らを、軽蔑の眼差しで見る大人たちも少なからずいた。
そのため、生徒たちは、ルイスもすぐに自分たちのことを投げ出すだろうと思っていた。


だが…ルイスは1番に体育館に来ていた。
しかも…練習前に宿題をさせ始めたのだ。
そして、勉強だけでなく、礼儀作法にまでうるさく口を出した。
さらに…自己中心的なプレーをする者には、容赦なくペナルティを課した。


だが、その一方で…ルイスは練習が終わる度に、部員たち全員に食事をご馳走。
彼らの悩みや相談にも真剣に耳を傾けた。


そんなある日…AJとミルハウスが練習に出てこなかった。
部員のひとり、ミルハウスの家は特に貧しく、彼自身もアルバイトをして家計を支えていた。
そのためバスケットシューズさえ、買えない状況だった。
一方、AJは、集中力を持続できないという発達障害を患っていた。
そのため、既に2度の留年を経験、後が無い状況だった。


そのことを知ったルイスは、練習後は付きっきりで、AJの勉強を見るようになった。
さらに…ミルハウスにバスケットシューズをプレゼント。
ルイスはなぜ、彼らのためにそこまでするのか?


ルイスが幼い頃、通信技師だった父親が失業。
以来、生活は困窮を極めていた。
だが…両親は少ない食料を、近所の貧しい家庭に分け与えていた。
両親はルイスにこう言って聞かせた。
「いいかい、ルイス 彼らを見捨てるのは簡単だ。出来る事をやらないのは間違ってる。」
「自分のことだけを考えるんじゃなくて、常に相手の事を考える、ルイス、そんな人になるのよ。」


サマーヴィル高校を卒業したルイスは、人の役に立ちたいとの思いから、消防士になった。
やがて母校のアメフト部のコーチに就任したが、バスケ部の惨状を目にし、自らコーチに名乗りを上げたのだ。


それからサマーヴィル高校のバスケ部は、徐々に変わり始めた。
すると…地区予選では負け続けだったサマーヴィルが徐々に勝利を収めるようになった。
その原動力となったのが、チームを率いるミルハウスと…華麗なプレーで得点を量産する、AJの2人だった。


ルイスがコーチに就任して約2年。
チームはついに…州大会本戦への切符を勝ち取ったのだ!
さらにルイスは、恋人のローレンと結婚。
すべてが順風満帆のはずだった。


ちょうど今から13年前の6月18日。
サマーヴィル郊外の家具店で火災が発生。
ルイスが率いるチームも出動し、従業員の救出にあたっていた。
その時だった…爆発的な延焼を引き起こす、フラッシュオーバーが発生。
巻き込まれたルイスは…そのまま還らぬ人となった。


誰もが絶望し、気力を失っていた。
だが…ミルハウスとAJが、ルイスのために必ず優勝しようと、チームを鼓舞した!
そして、ルイスの妻・ローレンに応援に来て欲しいと頼んだ。
彼らは、ローレンに少しでも元気になって欲しいと思っていたのだ。
そこにはもはや、自分さえ良ければいいと考える者はいなかった。


そして、サウスカロライナ208校の頂点を決める州大会本戦、最終学年の彼らにとって、最後の大会が開幕。
予選を勝ち抜いた、32校によるトーナメント戦。
優勝するには5連勝しなければならなかった。


彼らの傍らには、消防署から贈られたルイスのヘルメット。
さらに、スタンドからは…ローレンが見守る中、サマーヴィル高校の戦いは始まった!
ルイスへの思いを胸に、チーム一丸となったサマーヴィル高校は…度重なる接戦を制し、破竹の4連勝。


そして、ついにこの日…彼らは決勝の舞台にまで勝ち上がってきた。
選手たちの胸にはルイス・マルキーのファンを意味する、「マルキー・マニア」の文字。
靴には、ルイスのイニシャルが刻まれていた。
それは彼らがお金を出し合って、揃えたものだった。


しかし決勝の相手は、過去4回の優勝を誇るスパルタンバーグ高校。
果たして、勝負の行方は…!?
試合は、開始直後から一進一退。
サマーヴィルはミルハウスとAJを中心に得点を重ねる。
しかし、敵も負けていない、優勝候補のスパルタンバーグが…すかさず取り返す!


第2ピリオド終了の時点で、サマーヴィルが2点をリードする展開に。
その後も、優勝候補相手に一歩も引くことなく…リードを守ったまま、試合はとうとう最終・第4ピリオドに。
だが…ここに来てサマーヴィルは立て続けに失点。
残り時間2分で、4点のリードを許す展開となった。


もはや主導権は、完全に相手チームが握っていた。
その時! 「ルイス・マルキー!ルイス・マルキー!」
ルイスの名前が、会場中に鳴り響いた!
すると…その声に押されるように、サマーヴィルが立て続けにシュートを決め、逆転!
点差は2点。


そして…試合時間、わずか1.7秒を残し相手チームがファール、サマーヴィルにフリースローが与えられた。
シュートが入っても入らなくても、1.7秒後には、サマーヴィルの優勝が決まる…はずだった。
終了間際、フリースローのリバンドを取られ、相手チームにスリーポイントシュートを決められ逆転負け。


優勝の夢は潰えた…と誰もが思った、その時!
「無効です ノーカウントです!」
実は、相手チームがシュートを放った時には、既に残り時間はゼロになっていたとして、得点は無効になったのだ。


ルイスの教えが実を結んだ瞬間だった。
ルイスコーチの信念と、それに答えようとした部員たちが起こした奇跡だった。


ローレンさんはこう話してくれた。
「"自分の可能性を信じろ" ルイスがいつも生徒たちに掛けていた言葉が、やっと実を結んだ気がしました。」


ミルハウスさんは…
「常に相手の事、仲間の事を考える。ルイスはいつもそう言っていた。その教えを守ったからこそチームは強くなったし、自分の人生を変えることができた、そう思っています」


そして現在、バスケットの選手から、NFLのトップスターにまで上り詰めたAJさんは…
「多分、コーチが生きていたら、こう言っていたと思う。 "自分たちの可能性を信じた、お前たちの力だ" ってね。」
ルイスの教えは今もなお、選手たちの心に確実に息づいている。


Close×