仰天&奇跡!家族の絆2時間SP『平和な街を襲う悲劇 夫が妻を30年間監禁?』


アメリカ・ジョージア州 リングゴール、信号が大通りに3つあるだけの小さな街。
人々はみな、顔なじみで犯罪とは無縁の平和な生活を送っていた。
だが…街で電気修理工をしている、アルビン・リドリーは他人を信用せず、頻繁に住民とトラブルを起こしていた。
彼のことを良くいう者は、誰一人いなかった。
そんな変人アルビンには、不可解なことがあった。
アルビンには文通をきっかけに結婚した、バージニアという名の妻がいたのだが…結婚してすぐ、バージニアは家から出なくなり、およそ30年間、誰一人、彼女の姿を見ていなかったのである。
それゆえ、町の嫌われ者のアルビンは、妻バージニアを殺してしまったのではないか、そんな噂が立っていた。

そして、今から22年前の10月4日、事件が起きてしまった。
妻の意識がないとアルビンが911に通報。
通報を受け、すぐさま捜査員が検視官を伴い、アルビンの家に駆けつけた。
すると…そこには、やせ細ったアルビンの妻、バージニアの遺体が横たわっていた。
体重は40キロほどしかなく、髪も長い間櫛で梳かしていないようだった。

検死の結果、死後8時間たっていることが判明。
しかも、バージニアの目の周りに細かな内出血が確認された。
これは誰かに首を絞められ、窒息した遺体によくみられる症状だった。
これらの事実を受け、アルビンの事情聴取が行われた。

その後、バージニアの遺体は、より精密な検査のため、犯罪専門の研究室に送られた。
そして解剖の結果、死因は首を絞めたことによる窒息…他殺と発表された。
アルビンは殺人容疑で起訴された。
その後、アルビンは保釈され、なんとか裁判までの自由を得ることはできたものの…彼の評判を聞いていた弁護士たちは勝ち目がないと判断し、弁護を引き受けようとしなかった。

だが、個人務所を開業したてのポストン弁護士がアルビンの弁護を引き受けてくれることになった。
ポストンは、さっそく近隣住民に聞き込みを行ってみた。
だが…思った以上にアルビンの評判は悪かった。
妻バージニアの親族にも話を聞いたのだが、アルビンに有利な証言は一つも得られなかった。
この街で裁判を行えば、アルビンを犯人だと信じている街の人々が陪審員に選ばれる。
それでは、公平な裁判は受けられないと考えたポストンは、裁判が別の街で行われるように、裁判所に嘆願書を提出した。

そして事件から1年3ヶ月後、ついにアルビンの裁判が始まった。
結局、別の街で裁判をやるべきというポストンの主張は却下され、陪審員にはアルビンの有罪を信じる街の人々が選ばれていた。
始まる前から有罪が決まっているようなものだった。
検察官は、アルビンがバージニアを30年に渡って監禁し、首を絞めて殺したと主張した。
その証拠として、バージニアの死亡時、目の上に斑点があり、これは窒息した時にできたものだと主張したのだ。
傍聴席も、アルビンを変人扱いする街の人が多く、彼の殺人を確信し始めていた。

ポストンは、目の上の斑点は、病気によってできたものだと主張した。
バージニアには、てんかんの持病があったのだ。     
てんかんとは、大脳にある神経細胞の電気的な流れに乱れが生じ、意識障害やけいれんを引き起こす病気。
患者の多くは治療によって発作を良好にコントロールできるが、ごく稀にてんかんが原因と思われる死亡例も報告されている。
就寝中にてんかんの発作で気道がふさがったまま意識を失い、窒息死した事例もある。
しかし、検察官は、バージニアに治療を受けた記録や薬も買っていた形跡がないことから、バージニアのてんかんは死亡に繋がるほど深刻なものではなかったと主張した。
これにより、陪審員の心は有罪に傾いて行った。

ボストンは、アルビンの態度が頑なになってしまった原因に言及した。
まだ2人が若かった時、夫婦のアパートに害虫駆除業者がやって来た。
その時、その男が家にはバージニア一人だと思いこみ、部屋の中に入ってきたという。
その時、アルビンは激しく怒り、力ずくで妻を守った。
だが、暴力の噂が広がり、結局、二人はアパートを追い出されてしまったという。
それから、町の人との揉め事が増え、アルビンは次第に仕事を失っていった。
ボストンは、アルビンは治療をしなかったのではなく、貧しさのため、治療ができなかったのだと主張した。
それでも、陪審員の心証は変わらず、アルビンの有罪は確実…そう思われた。

そして最終弁論の日を迎えた。
ボストンは、アルビンの部屋で見つけたという、バージニアが書いたメモを証拠として提出した。
『私を笑顔や笑い声と共に覚えていてほしい 私があなたをそうやって記憶するように』
『どうか、私の笑顔を忘れないで下さい 愛しています 心から』
このようなメモが壁一面に貼られていたという。
アルビンは、妻の死後、彼女との思い出を…彼女の言葉を…忘れないように部屋に貼っていったという。

バージニア直筆のメモは、二人の間に確かな愛があったことがうかがえる内容だった。
これらの証拠により、バージニアが決して監禁状態ではなかったことが証明され、裁判に大きな影響を与えた。
そして出された判決は…陪審員全員一致で無罪。
アルビンの容疑は晴れたのだ。
そして今、彼はあの時の裁判について、こう語った。
「裁判中はいつも彼女の存在を感じていました。今でもそばにいる気がします。」
アルビンの弁護を引き受けたボストン氏は、こう話してくれた。
「彼が有罪だという結論ありきで進んでいることに対して、私は憤りを感じていました。自分は正しいと信じ切ることがいかに危険なことかを証明したかったのです。」

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