子供達の未来に奇跡を! カーオークションで起きた奇跡


今から3年前の4月、カナダ・アルバータ州に暮らすブレントは一目で恋に落ちた。
お相手は、1973年型のアメリカのクラシックカー。
かなり傷んではいたが、迷わず購入。
エンジンをはじめ、あらゆるパーツを入れ替え、自分の手で整備した。
ブレントは父と同じ油田の計測技師だった。
車好きなのもまた父親譲り。
ブレントは、この車で家族でドライブに行くのが夢だという。
そして、「男の子が生まれたら、18歳の誕生日に、この車をプレゼントするんだ」と楽しみにしていた。

整備には2年かかったが、車は新品同様に生まれ変わり、ブレントの夢は実現した。
家族4人、ドライブを楽しみ、たくさんの思い出ができた。
車は一家の幸せの象徴だった。

だが…ブレントの仕事が休みだったある日、ブレンドと妻のニコールは、ニコールの妹に子供たちを預け、久し振りにツーリングに出掛けた。
その時…直線を走っていたバイクに、反対車線から突然曲がろうとしたトラックが衝突!
すぐに病院に運ばれたが、2人は帰らぬ人となった。
あとには、6歳のアリエルと、3歳になったばかりのリーアムが残された。

ブレントの両親、ベン夫婦に悲しんでいる時間はなかった。
両親を失った孫たちを引き取れるのは、彼らをおいて他にはいなかったからだ。
だが、2人には大きな不安があった。
ベンはすでに定年退職し、年金生活。
夫婦2人が暮らしていけるギリギリの蓄えがあるだけだった。
さらに…アリエルとリーアムには生まれつき聴覚障害があった。
そのため、定期的に150キロ離れた、カルガリーの病院で検査を受けなければならない。
特にリーアムは重度の難聴だったため、言語障害治療も必要だった。
2人が大人になるまでの教育費も合わせると、かなりの資金が不可欠となる。

ベンは悩んだ。
父として、祖父として…そして彼はつらい決断を下す。
そして…クラシックカー専門のオークション会社に電話をした。
この日は地元で年2回、3日間に渡って行われるオークションの前日。
ギリギリまで迷った末の決断だった。
オークションは何度か見学したことがあり、クラシックカーのコレクターなら、きっとある程度の値段で買ってくれるだろうと考えたのだ。

父として祖父として、悩みに悩みぬいた末、ついに車を手放すことを決意したベン。
そして…今年9月8日。
ついにブレントの車が、オーシクョンに出される日がやってきた。
子供たちのために1ドルでも高い値がつくよう、ベンは祈った。
孫を車に乗せ、会場まで最後のドライブ。
オークションが始まり、ブレントの車の番になった。
すると、司会者が異例の行動に出る。
通常なら、車のスペックが発表されるとすぐに入札が始まるのだが、この時は違った。
司会者がベン夫婦と幼い子供たちをステージに招いたのだ。

実は…ベンは担当者に車を売ることになった事情を話していた。
ベンの事情を知ったオークションの主催者、リンゼー・ペインは、ベンから手数料はとらないことに決め、少しでもいい値がつくよう最優先で扱った。
すべては幼い子供たちのために…
リンゼー・ペインさんは、こう話してくれた。
「私にもリーアムくんと同じ歳の娘がいます。人ごととは思えませんでした。少しでも助けになればいいと考え、できるだけ好条件で落札されるように進行することにしました。」

司会者は亡くなったブレントが、家族のために2年かけて修理し、息子の18歳の誕生日にこの車を譲る夢をもっていた事を紹介。
そして、オークションが始まった。
希望落価格は1万5000カナダドル(約130万円)、入札は1万カナダドルからスタート。
司会者が1000ドル単位で価格を上げ、それに応じる買い手が次々と手を上げていく。
落札価格はなんと2万9000カナダドル。
予想された価格の倍近い金額である。

これで一件落着、と思いきや…車を落札した買い手がスタッフに何かを耳打ちした。
そして…「落札者が車を寄付しました。もう一度競売にかけられます!」
これは落札金をベンが受け取るだけでなく、さらに車をもう一度オークションにかけ、その落札金もまたベンのものになることを意味していた!
思いがけない落札者の申し出に、歓声が上がった。

大きな盛り上がりの中、オークションが再び始まった。
2回目は2万カナダドルからスタート。
金額は千ドル単位でどんどん上がっていく…なんと1回目を上回る、3万ドルで落札。
しかしこれで終わりではなかった。
次の瞬間、再びアンビリバボーな展開が!
なんと、2回目の落札者もまた車を戻し、もう一度オークションにかけてほしいと申し出たのだ!
これはまさに異例の事態だった。
興奮に包まれる中…3回目のオークションが始まった。
3回目は2万カナダドル(170万円)で落札。
驚きに満ちたオークションが終わった。

さらに、オークションが終わると、3回目の落札者がベンにこう言ったのだ。
「息子さんの車はあなたが持っていて下さい。そして、息子さんが望んだように、いつかお孫さんに引き継いであげてください。」
3回目の落札者ボブ・ベインズ氏は、こう話してくれた。
「この車を一番必要としているのはあの家族です。将来リーアムくんが運転している姿を私自身も是非見てみたいと思いました。」

3度のオークションを経た総額は、約680万円。
希望の5倍もの金額で売れたのみならず、思い出の車は家族のもとに帰ってきたのである!
さらに一家のことを知った人たちから寄付も寄せられ、売上と合わせて実に870万円以上の資金が集まったという。
思いは皆同じ…子供たちのために。
ベンさんは、こう話してくれた。
「世の中には、こんなにも心優しい人たちがいることに気づかされました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。」

アメリカとカナダ、それぞれの国で子どもたちに起こった奇跡。
大舞台で、優勝を争った2人の少女、彼女たちの栄光の影には、それぞれの両親のサポートがあった。
ダルシー、アンジェリカともに家族への思いをインタビューで答えている。
ダルシーは優勝直後、感想を問われ…
「言い表すこともできないくらい、喜びと 幸せと 興奮でいっぱいです。友達や家族が目に入って、審査員が壇上でハグをしてくれた時、とても嬉しく幸せで…。思わず泣いてしまいました。私の家族もとても喜んでくれていると思います。ここにいる皆さんのお陰で優勝することができました。本当に嬉しいです。」
と周囲への感謝の気持ちを表していた。
また、大会の賞金の使い道についても…「ママに食器洗い機を買うわ」と、母親のために使うと公言。

一方、アンジェリカも、母親に関して問われた際…あふれる感謝を伝えている。
さらに…「私はみんなから大きな歌声を持っていると言われるわ。その他に大きな腎臓も。4つの時、ママの腎臓を移植して命が救われました。だから腎臓の大切さを知っています。私はアンジェリカ、伝えたいことは…『腎臓を大切に?!』」
現在はアメリカの腎臓移植団体で、大使をつとめるなど、難病で苦しむ子供達をその歌声で勇気付けている。

そしてオーディションから1年が経ったいまでも、交流を続けているダルシーとアンジェリカ。
つい3週間ほど前の10月12日、ダルシー14歳の誕生日には、アンジェリカがSNS上で祝福のコメントを送るなど、今もなお友情を深めている。
自らの努力、そして家族の支えがあってこそ開いた、未来への扉。
将来性豊かな2人の少女、今後も家族とともに成長していくに違いない。

一方、カナダのベンさん一家は…
アリエルちゃんとリーアム君は、父の残した車で、毎日保育園へ通っている。
リーアム君には早くも車好きの一面が見えてきた。
そしてアリエルちゃんに将来の夢を聞いてみると…「お医者さんか獣医さんになりたい」
多くの人々の優しさが、彼らの未来を明るく照らしている。

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