息子を殺された母 執念が暴いた恐るべき真相

異国の地で、息子を殺された母親…なかなか進展しない捜査を受け、自らが息子の無念を晴らす事を決意!
彼女が解き明かしたのは、恐るべき真実だった。

この日、フィリピンのビジネスの中心地マカティで事件は起きた。
武装した3人の男たちにより、スティーブン・ディビス(当時32歳)が殺害された。
イギリス人の彼は大学卒業後、フィリピンに移住。
友人マイクとともに、ソフトウェアの会社を設立し、成功を収めていた。

悲劇の現場となったのは、彼らのオフィスの一室だった。
普段は仕事場として使用しているのだが、業務が立て込んだ時には、2人でここに寝泊まりしていたという。
警察は金品などが盗まれている状況から強盗殺人事件と推測。

スティーブンは、5年前にフィリピン人女性 イブリンと結婚。
2人の子供にも恵まれ、幸せな生活を送っていた。
スティーブンの母親・マーガレットは、息子の訃報を聞き、すぐにイギリスから駆けつけた。

警察は捜査を進めるも、犯人に繋がる手がかりは一切出てこなかった。
そこで、母・マーガレットは息子の友人・マイクのもとを訪問。
捜査が進展しない中、少しでも犯人の手がかりになるものはないか? 自分でも探ってみようと思ったのだ。

マイクによると…事件当日、犯人たちはまずマイクの部屋に侵入したのだが、なぜかすぐにスティーブンの部屋に行ったという。
さらに、オフィスの鍵穴にこじ開けた形跡はなかった。
オフィスの鍵は3つ。
鍵を持っているのは、マイク、スティーブン…そして、イブリンだという。

マイクの証言を受け、マーガレットは強盗以外の線でも調べて欲しいと警察に相談。
しかし…警察はスティーブンの鍵が見つかっていないことから、事件前にスティーブンが鍵を落とし、それを拾った人間が強盗目的で犯行に及んだと考えていた。
またフィリピンの警察は資金が十分ではなく、複数の可能性を同時に捜査するほどの余裕もなかった。

そのため、マーガレットは自分で捜査することを決意。
息子の知人を探し出しては、聞き込みに行った。

それだけではない…イブリンが暮らす家に出向き、直接 探りを入れてみることにした。
そして、マイクから聞いたことを話していると…イブリンがこう言った。
「犯行時間は『20分』だったんでしょ?」

だが…犯行時間が20分だったとは、どのメディアにも報じられていなかった。
またマイクに確認しても、犯行時間をイブリンに喋った覚えはないとのことだった。
彼女は息子の殺人に関与しているのか?
マーガレットはさらに自力で捜査をすることにした。

この日、マーガレットが訪れたのはイブリンの姉・ジーナの自宅だった。
ジーナによると、イブリンは不倫をしていたという。
不倫相手は、ジーナの夫・ロビンと同じ警備会社に勤めている男だという。

不倫相手との生活を優先させるために、夫である息子が邪魔になった…動機としては十分に考えられることだった。
そこでマーガレットはロビンを通じ、不倫相手と思われる男の写真を入手、すぐさまマイクに確認してもらった。
すると…マイクが見た犯人たちの中に、イブリンの不倫相手、アーノルドがいたのだ。

この決定的証拠を受け、警察もついに重い腰を上げた。
スティーブンを殺した3人組の一人として、アーノルドを逮捕。
さらに、警察はアーノルドとよくつるんでいた同僚の写真を入手、マイクに確認を求めると…マイクはこの男も「現場にいた」と証言。
2人目が逮捕された。

これで、事件の真相…息子の嫁、イブリンも殺害に絡んでいたことが証明される。
そう思われたのだが、逮捕された2人は事件への関与を否定、無実を主張したのだ。

イブリンの関与を証明するには、現場にいたもう1人の犯人を探し出し、新たな証拠を見つけるしかない。
マーガレットは根気強く聞き込みを続けることにした。

そんなある日、送り主不明のメールが届いた。
メールには「早くイギリスに帰れ! 次はお前だ!」と書かれていた。
マーガレットの身にも危険が迫りつつあった。
さらに…「これ以上、余計な動きを続けると…お前の孫たちは、あの世にいる父親に会いに行く事になるぞ」というメールまで送られてきたのだ。

これがもし、イブリンの仕業だとしたら…自分の子供を手にかけるということ。
常識では考えられない。
だが…彼女が息子を殺した犯人なら…

マーガレットは先回りをし、急いでイブリンの自宅に行くと、イブリンがいない隙に2人の孫を連れ出し、イギリスへと逃亡した。
あとは、イギリスの警察に相談し、事件解決の手助けをしてもらおうと考えていた。
ところが…マーガレットが誘拐犯として指名手配されていると、マイクから連絡がきたのだ!
子供たちをマーガレットに誘拐されたと、イブリンがフィリピン警察に訴えたのだ!

すると、その時だった。
イブリンの姉・ジーナから電話が掛かってきた。
ジーナによると…残るもう1人の犯人は、自分の夫・ロビンかもしれないというのだ。

逮捕された2人は、ロビンと同じ会社に勤めていた。
事件が起こった夜、ジーナの家に彼らがやって来たという。
そして…ロビンは彼らと出かけたまま、朝まで戻ってこなかったという。
さらに、2人が逮捕されてから、ロビンは明らかに暗く塞ぎ込み、何かに怯えていたという。
そして…その夜、イブリンもその場にいたという!

マーガレットは、マイクを通じてフィリピン警察に連絡。
捜査員に問い詰められたロビンは、すぐに真相を自白した。
イブリンに依頼され、多額の報酬を受け取る代わりに、彼女の夫を殺害したことを認めたのだ。
さらにマーガレットに脅迫メールを送るように、指示されたとも供述。

こうして遂に、イブリンは逮捕された。
そして、その後行われた裁判で、彼女の悪魔のような計画が明らかとなる。

フィリピンにやってきたスティーブンと結婚したイブリン。
最初は仲睦まじい夫婦だった。
しかし4年後、イブリンはアーノルドとの不倫を始める。
夫への愛情を完全に失った彼女は、不倫相手と遊ぶ金欲しさに、結婚指輪さえもお金に変えていた。
だが、やがて不倫がばれ、離婚を切り出される。
イブリンも夫と離婚し、アーノルドと一緒になることを望んでいた。

しかし、警備会社で働くアーノルドと、実業家として成功していたスティーブンとの稼ぎは雲泥の差。
しかも、自分の不倫が原因で離婚するとなれば、多額の慰謝料を請求される可能性も…

そこで彼女が考えた計画こそ…強盗を装った夫の殺害だった。
これで疎ましい夫はいなくなり、残された財産を手に不倫相手と新たな生活を始められる。
だが、それを許さなかったのは、母・マーガレットの執念とも言える愛だった。

実行犯となったアーノルドと、もう一人の男には終身刑。
ロビンは罪を認め共犯者を告発する事を条件に、いわゆる司法取引が認められ、無罪釈放となった。
そして事件の主犯と認定されたイブリン、彼女には懲役40年の判決が言い渡された。

事件から15年、我々は、現在スペインで暮らしている、マーガレットさんの元を訪ねた。
自宅には、夫のアランさん、そして…孫のジェシカとジョシュアの姿も。
事件後、2人を引き取る事を決意したマーガレットさんは、11年前、子供達のためにフィリピンと気候が似ている、スペインに移住することを決めた。

現在、姉ジェシカは大学に、弟ジョシュアは高校に通っている。
ジェシカさんは、インタビューにこう答えてくれた。
「育てて貰った事にとても感謝しています。祖父母がかけてくれた愛情の分だけ、いつか私たちも恩返しをしたい、そう思っています。」

Close×