市原悦子さん。
訃報に際し、2005年に『とくダネ!』でインタビューさせていただいた映像が
流れておりました。
流れていたのは1シーンでしたが、様々なことを思い出します。
あの、どこかのんびりとゆったりとした声にふんわりと包まれながらも、
とてもいい緊張をくださる方でした。
「やがて来る日のために」という介護がテーマのドラマに出演されるときで、
ご自身も退院して間もなく、のタイミングだったと思います。
病気、老い、死生観・・・などインタビューのテーマも自ずと重いものでした。
初対面の、まだ30そこそこの私に、簡単にそんな大切な話を赤裸々に吐露されるはずもなく、
何度も何度も違う質問をしながらも
ご自身の病気を通して気づいたこと?
何か演技に生かされたことは?等々、私自身の心の中で焦りがあったのだと思います。
そんな時。
ご自身の若いころを振り返りながらも
「若さと健康って、暴力的なものだから・・・」ととてもにこやかに微笑まれたとき、
はっきりと、自分自身の胸に刺さったのを覚えています。
インタビューって、自分が聞きたいことを聞くのではなく、
相手の心に寄り添ってこそなのだと教えていただいたと思っています。
もちろん、ご自身がどういう意図でおっしゃったかを確認したわけではないですが・・・。
深い反省が伴ったインタビューだったのを、今もはっきり記憶しています。
そして、存在と言葉のひとつひとつが、唯一無二の重さを持つ方と、もう直接お目にかかれないのが、、、寂しいです。