FUJI TELEVISION Announcer's Magazine アナマガ

佐々木恭子の行き当たりばったり

魂こめて、声を吹き込む。

2016/08/10 18:59
posted by 佐々木恭子
今日は、初めての仕事に出会いました。

初めて、というのはありがたいものです。

2時間のドキュメンタリーのナレーション。2時間という長尺は、初めてです。

10年ほど前にご一緒させてもらった先輩たちとの仕事。

先輩と仕事するのは、、、うれしく、そして緊張もあります。

やはり、少しは成長したと思ってもらいたいという、よこしまな気分で。笑


ドキュメンタリーの映像と台本、本番前に一度観ることができて幸いでした。
いきなり初見で本番!だと、到底わたしには受け止めきれない内容だったから。

自分のルーツを知りたい。

普遍の感情から湧き出る物語です。

そこに、樺太の歴史が絡んでくる。

知らなかったことばかりでしたが、第二次大戦の終戦のあと、沖縄の地上戦よりも後に、樺太では地上戦が行われた。

対・ソ連軍。


当時、仕事を求めて40万人もの日本人が樺太に移住していたとのことですが、中には引き揚げることができず、残留邦人となった方もいるのです。

長野五輪・金メダリストの清水宏保さんも、お祖父さんが樺太で仕事をし、そこで亡くなられた。

これまで断片しか知らなかった過去を辿る旅に出ます。

一方、海を隔ててすぐの日本に、帰りたくても帰れない残留邦人の方々。


自分が、いま、ここに生きている。
バトンを渡された命が、どこから来ているのか。

想いは、どこにいても、一緒です。


そして、自分にはどうすることもできない現実のなかで、いま、ここにある幸せを見つめる気持ちも、また普遍、、、、


旅に出る清水さんに同行するように、しかし、前に出ず、後ろから見守るような距離感でナレーションを読みましたが、途中、感情が高ぶって、ティッシュで鼻を抑えながら読んだ箇所もありました。


終わってブースから出て自分の声を聴くと、まだまだ、まだまだ、まだまだ、修正したいところだらけ、未熟なところだらけでしたが、でも、いまの自分の精一杯を出し切ったように思います。

また、もっと奥行きのある人になりたい、そう思いながら、ブースを後にしました。

難しいなぁ、だから好きなんだなぁ、ナレーション。



こんな、魂が触れ合うような機会をいただいたことに、感謝でいっぱいです。


放送は、8月20日午後3時、BSフジにて。


ぜひ、『誰も知らないカラフト物語』、ご覧いただけたら嬉しいです。
知らないことを、知る。
そこにある、ひとが織り成す物語に触れる。


きっと、、、何かこころに残るものがあると思います。