FUJI TELEVISION Announcer's Magazine アナマガ

開拓日記

被災地での「頑張って」

2017/03/19 18:23
posted by 木村拓也

【被災地での「頑張って!」】


この2週間はひたすらに被災地を走り、

生中継をしました。


宮城の女川、南三陸に始まり、
岩手の陸前高田、宮古、、、と10日間で10箇所。



中継回数にして、32回、、、!!


これだけ沢山のチャンスをくださいました
仙台放送、岩手めんこいテレビの皆さま、
本当にありがとうございます。



さて、震災から6年たっているとは言え、
とてもとてもヘビーな現場でありました。
その中で僕個人として、一つ大きな変化を感じました。

 

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人力車で被災地を走っていると、みんな僕に


「頑張って!」


と笑顔で手を振りながら言うんです。


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被災地の皆さんの方が僕よりはるかに大変で
頑張らなくちゃと思っているはずです。

 


少なくとも被災当時や数年後の取材では
僕はこの変化を感じませんでした。

 



もしかしたら少しずつ周りに目を向ける余裕、
心の余白が生まれてきたのかもしれません。

 


また「復興」という言葉に違和感を
感じている被災者の方も多くいて、
詳しく話を聞くと、年数を経るに従って生じる
とても前向きな意味での違和感でした。


 

アナウンサーは
相手の微妙な言葉の変化や違和感に気づく力が
求められますし、それは実践と経験でしか
身につかないでしょう。


 

今回の場合、僕は「頑張って」という言葉に
前向きな変化を感じ取りましたが、

 


心の奥底にある気づかぬ後ろ向きな思いで
「頑張って」をいう人もいます。

 


「頑張って」で自分を鼓舞する人もいます。

 

「頑張って」で自分を守ろうとする人もいます。

 

「頑張って」で無意識に人を傷つける人もいます。

 


もっと言えば、
自分が無意識に使っている応援の意味での「頑張って」は
そのまま伝わっていない可能性があることに
気づいているでしょうか。

 

 

 

簡単に応援できる言葉だからこそ、
とても使い方が難しいですね。


 

あえて使わない人もいると思いますし、
違う言葉で代用する人も身近で知っています。



 

ただ、無意識ではなく意識的に
自分が思っている「頑張って」と
相手が思う「頑張って」の違和感に気づき、
「頑張って」を巧みに使いこなす方がいたら
それはとってもセクシーで惚れます。


 

言葉は諸刃の剣だからこそ美しいのでしょう。

 

さて、久しぶりにカイちゃんに会い
充電完了です。


僕も明日から「頑張り」ましょうか。