FUJI TELEVISION Announcer's Magazine アナマガ

吾輩は褐色である

そだねー五輪

2018/02/26 17:30
posted by 榎並大二郎


昨夜、17日間に及ぶ熱戦に幕が下ろされた平昌五輪。

来月9日から開催されるパラリンピックも注目されるが、

ここお台場で、ビッグイベントが繰り広げられようとしていた―


 






実況  「さぁ、いよいよこの時がやって参りました!
     そだねー五輪!
     解説はもちろんこの方。「そだね」を研究し続けて30年…
     曽田根さんです!」

曽田根 「どうぞ宜しくお願い致します。」

実況  「それではここで競技ルールをご説明します。
     選手に許されているのは、『そ』「だ」「ね』の三文字を発することだけ。
     会話の前後関係を伝えられないという制限の中、
     言い方や間のとり方で、どんな状況で繰り出された『そだねー』なのかを
     審判員に想像させ、100点満点で競うものです!」

曽田根 「審判員の心の第一ストーンをいかに奪えるかが高得点のカギですね。」

実況  「それでは参りましょう!まず最初の挑戦者は…
     平昌の舞台で熱戦の模様を伝えたこの選手!」




実況  「三田友梨佳選手です!」

曽田根 「いいですね。首の傾き具合にコンディションの良さが伺えます。」

実況  「視聴者の皆さんも、どんなシチュエーションでの『そだねー』なのか
     想像しながらお楽しみ下さい!
     それでは参りましょう!三田選手の演技です!」









三田「…そだね♪」








実況  「出たーーー!
     男心をダブルテイクアウト!頬杖そだねー!
     これは早速とんでもない「そだねー」が飛び出しました!
     曽田根さん、いかがでしょう!?」
    

曽田根 「いいですね。しっかりと間を取ってからの演技でした。
     おそらく会話の相手は…会社の後輩でしょう。
     
     後輩からの猛アプローチをずっとかわし続けてきた友梨佳。
     決して嫌なわけではなく、むしろ誘いを嬉しく思っていた。
     それでも断るのは、先輩後輩の関係性が壊れてしまうのが怖いから。
     そんな友梨佳に、平昌五輪キャスターの話が舞い込む。  
     そして日本を発つ日、いつものように後輩が駆け寄ってきた。
     
     『三田さん!平昌、寒いみたいですから気を付けて!』      
     『ふふふ、ありがとう。』
     『あの…』
     『なあに?』
     『帰ってきたら…イチゴ狩り、一緒に行きませんか!?』
     
     今回も軽くあしらうつもりだった。ところが、
     『イチゴ狩り』という後輩のチョイスの素朴さに思わず笑ってしまい…
     『私は何を難しく考えていたんだろう。彼みたいに素直に生きてみよう』
     そんな思いの詰まった『友梨佳の心、雪解けの瞬間そだねー』ですね。」

実況  「それでは今の解説を踏まえて『友梨佳の心、雪解けの瞬間そだねー』を
     リプレイでご覧いただきましょう!」  






三田「…そだね♪」



実況  「いやー!イチゴのように甘酸っぱい、そだねーでした!
     そして得点が出ました!あっと100点!
     なんと早速満点が飛び出しました!!!」

曽田根 「いきなりで驚きましたが、まあ当然の結果でしょう。」

実況  「トップバッター三田選手の満点で幕を開けたそだねー五輪!
     今後どのような展開が待ち受けているのでしょうか!?」